顧客のニーズと市場性の確認

技術には自信があっても顧客をあまり理解していないベンチャーが多い。

 

顧客の切実なニーズを十分把握せずに創業したとしか思えないが、これは大変に無謀。

 

資金調達が難しいし、できたとしても事業成長への期待・要求が高く、大変苦労する

 

一方、ある事業領域のベテランが、「自分はターゲット市場と顧客のニーズを深く理解しており、
かつ、そのニーズにこたえる製
品・サービスのアイデアに自信がある」と思っていても、もしそれが独りよがりであれば、大きくはずれてしまう。

 

「自分は顧客を知っている。この業界のプロだ」と思っても、いったんは
「知っていると勝手に思っていただけだ」という程度に考える方が無難

 

したがって、ベンチャー創業に際しては、多くの顧客候補や業界のキーパーソンに実際に会って、
顧客の切実なニーズを再度自分の目でしっかり把握すること。

 

前職の大企業等の立場とベンチャー社長の立場では、相手の接し方も、
こちらから見えるものも全く変わってくる。

 

一方、心を許していたと思っていた相手の態度が豹変することも日常茶飯事であり、
そのショックから早く立ち直り、新しい立場で顧客ニーズの把握をしなければならない。

 

アポを取ること自体、簡単ではなくなることもある

 

進めるべきステップとしては、まず、ターゲット市場の範囲を決定する

 

・業界の知見、ヒアリング、調査レポートなども参考にして、ターゲットとすべき市場の範囲を決定する

 

・どういった市場を攻めるのか、どこにどう絞ると自社の競争優位性がどのように増すのか、
 いくつかシミュレーションしてみる

 

次に、顧客4〜5社の切実なニーズを数十枚のメモに書いてみる(176ページ「メモ書き」参照)。
ニーズの差で、セグメンテーションに分ける

 

・ターゲット市場内での顧客名をリストアップする

 

・どの顧客がどのような切実なニーズを持ち、なぜこの製品・サービスに飛びついてくれるのか、仮説を立てて整理する

 

・ニーズの重要度・緊急度を「大変困っている最優先課題」、「優先課題」、「それ以外」の3段階に分ける

 

・特に、年間購入額が重要

 

 検討中の製品が置き換えるであろう製品を、現在年間どのくらい購入しているか

 

 置き換える製品が特にない場合、年間いくらぐらいなら買ってもいいと思うか

 

仮説を立てた後、20〜30名の顧客候補や業界のキーパーソン等に会って仮説を検証、修正する

 

(市場性確認: 次ページ参照)

 

製品紹介・営業をするのではなく、顧客候補のニーズを明確に把握する

 

顧客の嗜好や、既存製品を使う場合の行動パターン、購入パターン

 

何を不満に思っているか、何が満たされていないか、何に大変困っているか

 

・どういう製品・サービスであれば実際購入につながるのか、製品・サービスと
 顧客セグメンテーションの仮説を検証、修正する

 

このように、製品仕様を決定して開発を始める前に、インタビューによる市場性の確認に
1〜3ヶ月集中して取り組む。

 

ベンチャー社長は顧客の切実なニーズを深く知り、製品・サービス構想を十分テストすることができるため、
その後のプロセスを効果的に進めることができる。

 

事業計画の質も社長の説得力も大いに増すので、経営資源(社員、アドバイザー、提携先、資本、
ロイヤリティーの高い顧客、サプライヤー)の確保がはるかに容易になる

 

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